会長ごあいさつ

坂本 秀行

会長 坂本 秀行

1980年4月 日産自動車株式会社入社
2000年4月 ルノーブラジル社出向
2003年4月 日産テクニカルセンターノースアメリカ会社出向
2005年4月 日産自動車株式会社チーフビークルエンジニア
2008年4月 同執行役員製品開発本部担当
2009年4月 同ルノー日産アライアンスダイレクター
コモンモジュールファミリー開発導入
2012年4月 同常務執行役員生産技術本部担当
2014年4月 同取締役,副社長開発部門担当
2018年1月 同取締役,副社長生産事業担当,現在に至る

これからのクルマの発展は未来生活像の実現に向かい,複雑な社会システムとの関わりを前提に大規模かつ高難度な技術開発に依存します.しかしながら,自動車技術者に求められる役割と価値は変わることはありません.技術開発の焦点は,お客様や社会にもたらす価値にあります.自動車技術者に求められる日常は,常にそれを意識し,市場環境の動向と技術の発展を十分理解し活用することで,お客様や社会に共感される機能と性能を実現する最善のテクニカル・ソリューションを提供することです.

その共感される機能と性能の要件とは,革新性,信頼性,使いやすさ,そして手ごろな価格です.これらの実現は並大抵のことではありません.挑戦や課題が複雑で難しいほど,将来のモビリティ社会にもたらすインパクトは大きくなるでしょう.これが正に自動車技術者の醍醐味であり,自動車技術者の『真価』はここにあります.

一方,電動化や知能化は,従来のクルマ単体から社会システム全体へと思考フィールドの変革を求めています.新たなプレイヤーが参入し,技術進化のスピードは加速しています.その中で,お客様や社会に提供する価値を高めるには,協調領域を見定め,その質と効果を向上することが必須です.自動車技術会の役割は,この協調を『深化』することにより技術を『進化』させることと理解しています.自動車技術の協調領域の拡大と質のレベルを圧倒的に高める取り組みを皆さんと論議し,進めたいと考えます.

代表的な協調領域である標準化では,経営視点で協調領域を定めた活動が進められており,自動運転用高精度地図,サイバーセキュリティなど,具体的な成果を挙げつつあります.従来の自動車産業の枠組みを越えた様々なステークホルダーと連携し,国際標準となり得る規格の策定に向けて取り組みを一層加速したいと考えます.

もうひとつの重点協調領域は,次世代技術者の育成です.日本における少子化は,自動車産業の今後を左右する課題であり,理系人材の戦略的な育成は急務です.産と学から成る自動車技術会には多大な貢献が期待されます.学生フォーミュラなど理工系人材の裾野拡大に加え,産業界のニーズと高等教育のマッチングを促す活動を具体的に進めたいと考えます.さらに,技術者のモラルやヒューマニティについて論議するのも興味深いでしょう.例えば,排気性能開発において法の精神の理解に基づき市場の様々な使われ方を考慮する時,あるいは自動運転開発でドライバーの意志や思考を制御アルゴリズムとしてクルマに移植する時,技術者はより深い考察と人間性に基づく判断が求められるからです.

いつの時代も技術者は不可能を可能にしてきました.協調領域の『深化』が個々の技術を『進化』させ,ひいては日本の自動車産業全体の発展及び国民生活の向上に寄与する,これこそが自動車技術者の『真価』です.より高度で複雑な課題の解決に向けて切磋琢磨し,モビリティの未来を切り拓いていきましょう.

(2018年6月発行 自動車技術会会誌 3つの『SINKA』が切り拓くモビリティの未来より)

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